こんにちは、ロプロス(@ropross)です。
先日、「北東北フリーきっぷ」というお得な切符を使って、北東北を鉄道で旅してきたのですが、その往路に寝台急行「はまなす」を利用しました。そのときの乗車レポートです。
「はまなす」は、札幌-青森間の約480kmを一日一往復している夜行列車で、現在定期運行されている唯一の急行列車です。かつて全国の鉄路を賑わしたブルートレインの面影を色濃く残す列車としても、人気を集めているそうです。
私は幼い頃から寝台列車というものに憧れを抱き続けてきたのですが、これまで乗る機会がなく、そうこうしているうちに次々と廃止になっていき、今や残された寝台列車は両手で数えられるほどに減ってしまいました。
北海道と本州を結ぶ「トワイライトエクスプレス」や「カシオペア」といった人気列車は残されていますが、このような豪華寝台列車に乗る前に、まずは昭和的鉄道旅の雰囲気を味わえるという「はまなす」に乗ってみたいと思い、今回東北までの足として選びました。
(旅行日:2013年7月8日~9日)
「はまなす」には数種類の車両が連結されていて、カーペットカーやドリームカーなら、「北東北フリーきっぷ」があれば追加料金無しで乗ることができるのですが、今回はB寝台に乗ってみたかったので、急行料金1,260円とB寝台料金6,300円の合計7,560円が必要となりました。寝台料金はいいとして、なぜ急行料金まで必要になるの??
カーペットカーほどではありませんが、B寝台も人気が高いみたいで、満席になることもしばしばあるようです。空席情報は、JRサイバーステーションで確認が可能です。
旭川駅からスーパーカムイに乗って札幌駅に21:20に到着しました。
「はまなす」の出発時刻は22:00なので、心の準備をする時間はたっぷりあります。
はやる心を抑えつつホームへ。
車両の停車位置を示す案内板。このプレートが並んでいるのを見ると、旅気分が盛り上がりますね。
出発20分前の21:40頃、青いディーゼル機関車に牽引された「はまなす」が入線してきました。ヘッドマークには、黄色い背景に赤いはまなすの花が三輪デザインされています。
うおおー!子供の頃は本の中で見るだけだった、憧れの青い車体が目の前に!!や、子供の頃見てたのは電気機関車だったんだけど、細けえことはどうでもいい。
客車の上部に輝く行先票。今や極めて貴重となった「急行」の文字。
客車は全7両の編成。2両のB寝台の他には、ゴロンと横になれる人気のカーペットカー、深くリクライニングできるドリームカー、そして通常の座席車両が連結されています。
車両後部のテールマークも同じようにはまなすのデザイン。
寝台車の側面にはかっこいいエンブレムが。
B寝台の乗車口。いよいよ乗り込みます。
寝台車の内部。通路はかなり狭く、すれ違うのも大変です。
寝台はこのような感じ。上下二段のベッドが向かい合わせになっいて、それぞれカーテンを閉められるようになっています。
上段へは窓側にかけられた鉄製の梯子を使って昇り降りします。
嬉しいことにスリッパも完備。
寝台の下段。かなり年季が入っているようです。
ハンガーや、ちょっとしたものを置ける収納式の棚が備えられ、寝具は枕と毛布、シーツ、浴衣と、ひと通りのものが揃っています。
寝台はかなり狭く、大人一人がなんとか寝られる程度の広さしかありません。
同じような造りのフェリーの寝台と比べても、窮屈な印象です。
寝台の上段。
窓はなく天井も低いので、やや圧迫感はありますが、どこか子供の頃の秘密基地にいるようなワクワクした感覚も味わえ、妙にテンションが上がります。
転落防止のために、ベルト状のものが上下に張られているので、寝相の悪い人でも安心です。下段の鉄製の柵と比べると、ちょっと心許ないですが。
上段の通路側には荷物のおける広いスペースがあるので、荷物が多い人でも大丈夫そうです。
浴衣には「JR」のマークがデザインされています。
車両の端には更衣室があるので、そこで着替えることもできます。
この日(7月7日月曜日)のB寝台は、下段はすでに満席で上段に若干の空きがあるという状況でした。ちなみに、前日の日曜日は全て満席となっていたようです。
さて、荷物を置いたところで、出発までにまだ時間があるので、他の車両を探検しに行きます。
わずか510円の指定料金だけで、横になって眠れるとあって、大人気の「のびのびカーペットカー」。一両だけ連結されています。
リラックスした表情のダックスフントが可愛ええw
浴衣やスリッパ等はないものの、枕や毛布、シーツは用意されているようで、隣の区画とはカーテンで仕切れるようにもなっています。
2階席もあり、こちらは個室感覚で利用することができそうです。
B寝台料金が6,300円ということを考えると、510円でこのスペースを利用できるのはお得ですね。
B寝台にもカーペットカーにも女性専用のブロックが設けられているので、女性でも安心して利用することができます。
ドリームカーの車端にはミニラウンジが設置されています。眠れないときの語らいに良さそう。
洗面所。洗顔、歯磨きには問題なく使えますが、さすがに揺れる車内でコンタクトレンズをつけるのは怖かったので、下車してからにしましたw
あれこれ見て回っているうちに定刻の22:00となり、「はまなす」は青森に向けて出発しました。
新札幌、千歳と停車してから、新千歳空港の玄関口、南千歳駅へ。
南千歳駅では、空港から来たと思しき乗客がかなり乗り込んできました。飛行機で新千歳に着いてから、道南方面に行く人にも、この「はなます」は利用されているようですね。
私の向かいの寝台にも、函館に行くというおじいちゃんが乗り込んできました。ちなみに、終着駅の前で降りる乗客には、寝過ごさないように車掌さんが声をかけて起こしてくれるそうです。
南千歳を出発した「はまなす」は、苫小牧から室蘭本線に入り、さらに南へ向かって走り続けます。
このあたりで眠気も襲ってきたので、寝台に横たわり就寝。と、いきたかったのですが、車両はかなり揺れるし、走行音も大きく、狭い寝台ではなかなか快適に眠るということはなかなか難しい・・・
ぐっすり眠ることは諦めて、列車の揺れに身を任せて、うとうとしながら貴重な寝台列車の時間を楽しむことにします。
時刻は深夜ですが、登別、東室蘭、伊達紋別、長万部と、大きな駅には停車していきます。ほとんどの乗客が就寝中なので、車内のアナウンスはありませんが、何人か乗降した人もいるみたいです。
函館までの路線は噴火湾に沿っていて、日中は海の風景を楽しめるのですが、この時間ですと当然ですが車窓は真っ暗で何も見えません。
札幌駅を出発して約5時間。2:52に函館駅に到着しました。
結局、熟睡することなくずっとうつらうつらとしていたので、寝台から起きてホームに出てみます。
函館から青函トンネルを通って青森までの路線は、電化されているので、ここでディーゼル機関車から電気機関車へとバトンタッチです。
B寝台やカーペットカーの乗客はまだ楽なのでしょうが、通常の座席に長時間座り続けた人達はやはり疲労が溜まるようで、ホームに降りてきて身体を伸ばす人が多くいました。
そういう人たちもやがて車両に戻り、誰もいなくなったホーム。深夜のホームの雰囲気はたまらなくいいよなー。
牽引車を換えた「はまなす」は、約30分後に函館駅を出発。青函トンネルに向けて走り出します。
私も再び寝台に横たわり、まどろみの中へと戻りました。
この辺りからの記憶がないので、青函トンネルを通るあたりではすっかり眠ってしまっていたようですw
気付いたときには本州に入り、津軽半島を走っていました。外もすっかり明るくなっています。
延々と田んぼが続く風景の中を、青森に向かってラストスパート。
寝台車の狭い通路には、折りたたみ式の座席もありました(写真ブレててごめんなさい)。
そして早朝5:39。青森駅に到着です。
仕事を終えると早々に客車から切り離され、あっさりと去っていく電気機関車。
残された客車。7時間39分の長旅、お疲れさまでした。
青い森鉄道の車両と並ぶ「はまなす」の客車。
まとめ
こうして、幼少の頃よりの念願だった寝台列車の旅が終わりました。さすがにほとんど眠れなかったので寝不足気味・・・ちなみに寝付きの良さに定評のある相方は、苫小牧のあたりからずっとぐっすり寝ていたようですw
寝台は狭いし、車両は揺れるし、走行音も大きいし、正直快適とはとても言い難く、しかも寝台料金はビジネスホテルに泊まるよりも割高です。しかししかし、それでも他では決して味わえない旅情やノスタルジーを満喫することのできる、魅力的な列車であることは間違いありません。この体験は強く記憶に焼き付き、いつまでも想い出に残り続けることでしょう。
「急行」「寝台列車」と希少な要素の重なっている「はまなす」ですが、2016年に予定されている北海道新幹線の開通と同時に、廃止になってしまうのではないかという噂もあります。この雰囲気を味わうのなら、早いうちがいいかもしれませんね。
「はまなす」は、私が今回利用した「北東北フリーきっぷ」以外にも、「青森往復きっぷ」(追加料金無しでB寝台が利用可能)、「北海道&東日本パス」(急行券が必要)などでも、乗車することが可能です。
北海道への旅(もしくは北海道から本州への旅)を計画している方は、「寝台急行はまなす」の利用を検討してみてはいかがでしょうか?
それでは、またー。