こんにちは、ロプロス(@ropross)です。
先日、十勝を旅行したときに、6年ぶりの復活を遂げた「かんの温泉(菅野温泉)」に入ってきました。
「かんの温泉」は十勝の鹿追町、東大雪の山中に位置する秘湯です。開湯100年の歴史を持ち、古い湯治場のような雰囲気と「菅野で治らぬ病なし」と言われるほどの泉質の良さで、人気を集めていましたが、2008年に経営者の都合により閉鎖されてしまいました。
それが、今年(2014年)の8月、新たな経営者によって復活を遂げ、営業を再開したというニュースが入ってきました。当面は日帰り入浴のみですが、近々宿泊棟のリニューアルも完成する予定で、泊まることもできるようになるのだとか。
私も以前、然別峡のキャンプ場に泊まった時に、入ろうと思ったのですが、日帰り入浴の時間が過ぎていたようで残念ながら入ることはできず。その後も機会がないまま閉鎖となっていたのですが、ずっと憧れてやまなかった温泉がついに復活の報を聞き、今回の十勝旅行で早速行ってみることにしました。
鹿追町の瓜幕のあたりから北へ向かう道道に入り、狭い山道を走ること約20km。30分ほどでかんの温泉に到着します。
以前は未舗装路がかなり残っていたのですが、現在は全線が舗装されているので、狭い道とはいえ行きやすくなったね。
携帯の電波を確認してみると、やっぱりドコモ、ソフトバンク共に圏外でした。
駐車場にクルマを停めて、建物の方へ向かいます。
左側にあった味わいのある木造の建物がなくなり、右側の温泉棟も新しくなっています。これはずいぶんと印象変わったなぁ。
温泉棟の入口。
以前の鄙びた雰囲気はどこにもありません。
温泉棟の奥にある宿泊棟は、以前からあった建物をリニューアルしているようで、オープンに向けて工事中でした。
10月中には宿泊できるようになる予定なのだとか。
宿泊棟前のセメント舗装された道路に何かの足跡が!?
ひー、これヒグマじゃないっすか?
日帰り入浴料金は650円。以前は1000円だったので、だいぶ安くなったのは嬉しいね。
現在は温泉棟の浴場のみだけど、足湯、宿泊棟の露天風呂、さらに貸切露天風呂の3ヶ所も今後オープン予定のようです。
以前はほとんどの浴場が混浴だったそうですが、現在は「ウヌカル」と「インナクル」の2ヶ所の浴場が男女日替わりになっていて、混浴はなくなっていました。
この日は昔の浴室が残る「ウヌカル」が男性用、露天風呂のある「インナクル」が女性用です。
2つの浴場で合計9つの浴槽があり、ほとんどは異なる源泉が注がれています。泉質は全て含重曹-食塩泉で、成分総計3~4g/kgとなかなかの濃さ。一部加水している浴槽がありますが、全て掛け流しとなっています。
脱衣所もできたばかりとあって、さすがに清潔でキレイ。
この日は女性用だった「インナクル」の方の内湯。
手前右が「イナンクルアンナー(幸せになろうね)の湯」、左奥が「イナンクルアンノー(幸せになろうぜ)の湯」。このように多くの浴槽にはアイヌ語由来の名前が付けられています。
写真は撮れなかったのですが、もう一方の浴場「ウヌカル」の方も似たような造りで、「ウヌカルアンナー(また会おうね)の湯」、「ウヌカルアンノー(また会おうぜ)の湯」と二つの浴槽がありました。
新しく造られた浴室なので当たり前なのですが、まるでスーパー銭湯のようにピカピカで、秘湯らしい風情を期待すると拍子抜けしそう。それでも、浴槽や壁に木材や石材を使うなど、雰囲気を演出しようという姿勢が伺えます。
「インナクル」、「ウヌカル」どちらの浴場も、新しい内湯にある2つの浴槽は、ぬる目のお湯だったので、ゆったりと長湯を愉しむことができます。
「インナクル」の方は、内湯の奥に露天風呂があります。
二つの浴槽があり、右は「春鹿呼(しゅんろくこ)の湯」、左は「秋鹿呼(しゅうろくこ)の湯」という名前が付けられていました。
こちらは以前からあった浴槽を大きく改装したものだそうですが、浴槽の床のタイルは当時のままなのだとか。
狭くて開放感はありませんが、石造りの浴槽の雰囲気はなかなかのものです。
この日男性用だった浴場「ウヌカル」の奥にある浴室。
ここは床と浴槽の縁と窓以外は昔のままだそうです。
おー、ここは秘湯っぽさが充分残ってるなぁ。いいねいいね。
浴室の真ん中にあるひょうたん型の大きな浴槽は「波切の湯」。源泉の温度が高いようで、加水しているそうです。
浴室の隅にある小さな浴槽、「シロカニペ(銀の雫)の湯」。
温泉成分がびっしり付着した岩壁からもお湯が流れています。
奥まったところにある「コンカニペ(金の雫)の湯」。
こちらも2人入ればいっぱいになるような小ぢんまりとした浴槽で、打たせ湯のように上からお湯が注がれています。
建物の外観から新しい内湯まで、キレイ過ぎて秘湯らしさに乏しく、ちょっと残念だなと思っていたのですが、この浴室は実に素晴らしいですね。
浴場は男女日替わりなので、できれば露天風呂のある「インナクル」よりも、この浴室のある「ウヌカル」に入れる日を狙って来るほうがお勧めかな。
ぬる目の浴槽が多いので、名湯をゆっくりのんびりと長い時間をかけて、満喫することができました。
温泉棟には休憩室もあり、湯上がりにのんびりと休むこともできます。
施設の説明をしてくれた受付の女性がとても感じのよい方だったので、宿泊できるようになったときの接客面でも期待できそうですね。
宿泊棟の隣にある、現在はまだ準備中の「幾稲鳴滝(いななるたき)の湯」を見学させてもらいました。
昔のオーナーが造ったという、イチイの巨木を利用した野趣溢れる湯船が見事!
宿泊棟がオープンした際には貸切湯として提供する予定だそうです。日帰り客も利用できるかどうかは、今のところ未定なのだとか。
これだけの巨木をくり抜いた浴槽というのはなかなかお目にかかれないですし、滝を目の前にしたロケーションも抜群。これは早く入ってみたいですねー。
まとめ
新しい施設は以前の湯治場のような雰囲気からガラリと変わってしまい、風情や趣という点では物足りなさを感じるかもしれませんが、名湯であることには変わりありませんし、何より閉鎖されていた秘湯にまた入ることができるというだけでも嬉しいですよね。
昔の面影が色濃い「ウヌカル」の浴室や「幾稲鳴滝の湯」など、秘湯的雰囲気のある場所も残してくれましたし、この先、全ての施設がオープンして、快適さと秘湯風情の融合した素晴らしい温泉宿になってくれることを期待したいですね。
次に訪れるときには、ぜひとも泊まってみたいなー。
ではでは、またー。
(旅行日:2014年9月12日)