極上の温泉を満喫!「ぬぐだまりの里 秘湯 八甲田温泉」に泊まったよ

2014年 9月 17日
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こんにちは、ロプロス(@ropross)です。

8月の「北東北フリーきっぷ」を使った青森への鉄道旅。最後の一泊は「ぬぐだまりの里 秘湯 八甲田温泉」に泊まりました。

「ぬぐだまりの里」は八甲田山麓の田代平湿原のあたりに位置する、その名の通り秘湯の一軒宿。以前は「八甲田温泉 遊仙」という名前で営業していたそうですが、2012年にリニューアルし、現在の名前になったそうです。

鉄道旅では行動範囲が制限されてしまうため、なかなか山の中にある秘湯宿などには行きにくいのですが、この「ぬぐだまりの里」は青森駅までの送迎があります(新青森駅でもOK)。鉄道旅でも秘湯宿に泊まれるってのは嬉しいですね。

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青森駅から送迎バスに乗り込み、約1時間ほどで宿に到着。
建物は山荘をイメージさせるもので、秘湯の山宿らしく鄙びた印象です。

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ですが、一歩建物の中に足を踏み入れると、その印象も一変します。
まだリニューアルして2年ほどしか経ってないだけあって、中はピカピカに新しく、ロビーには最近の宿らしい和モダンなテイストも取り入れられています。

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フロントから客室へと向かう廊下には、古い民芸品などが展示されています。
こういった心温まるような演出はいいよねー。

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囲炉裏のある休憩室も。

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案内された部屋は、6畳+8畳+狭めの広縁と、充分過ぎるくらいの広さ。バス・トイレはありませんが、洗面所は広縁に付いています。

奥の8畳間には布団が最初から敷きっぱなしなので、チェックインしてすぐにゴロリと横になりたい私には嬉しい。

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テレビはブラウン管、電話はダイヤル式と、懐かしさを感じさせてくれる演出がこんなところにも!(多分違う)

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手前の6畳間にはテーブルが置かれています。
冷蔵庫はないのですが、電気ポットとお茶セットは用意されています。

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広縁の窓からは、向かいの浴場の大きな建物が見えるだけで、残念ながら眺望はありません。

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タオルや浴衣など。

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この宿には、「龍神の湯」と「らむねの湯」のそれぞれ別棟になった2ヶ所の浴場があり、泉質の異なる4本の源泉を持っているそうです。もちろん全ての浴槽が源泉掛け流し。

まずは木造のロッジのような建物の「らむねの湯」へ。こちらには宿泊者は500円で入れる(外来は1500円)予約制の貸切風呂があるので、まずはそこから入ることに。

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小ぢんまりとした「らむねの湯」の貸切風呂。
壁はすべて板張りになっていて、なかなかの雰囲気。

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泉質は酸性の硫黄泉で、仄かな硫黄臭の漂うお湯なのですが、「らむねの湯」の名の通り炭酸成分を多く含んでいるため、しばらく入浴していると体中に驚くほどの泡が付着していきます。
炭酸泉と言えば大分県の長湯温泉が有名ですが、それに劣らない泡の付き方ですね。

炭酸成分のおかげか酸性泉にありがちな湯触りのキシキシ感がなく、むしろ滑らかでふわふわとした優しさを感じる独特の感触があります。これは珍しいなぁ、こんなお湯に浸かるのは初めてだ。
温度もぬる目なので、のぼせることなくゆっくりと入浴することができます。

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続いては今年(2014年)の6月にオープンしたばかりだという、大きく立派な湯殿の「龍神の湯」に入りに行きます。
部屋の窓から見えてたのはこの建物か。

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「龍神の湯」の入り口。看板にも見事な一枚板が使われています。

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男湯・女湯にそれぞれのれんがかかっています。細かいところだけど風情があっていいな。

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秘湯宿にしては脱衣所はかなりの広さ。かなり日帰りで入浴していく人も多そうです。
さすがに最近できたばかりなので非常に清潔。

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「龍神の湯」の内湯。
堂々たる木造りの湯殿には、樹齢200年以上のブナ材が使われていて、なるべく金具を使わない宮大工の技法により建てられているそうです。おおおー!これは素晴らしい!!

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内湯には大小二つの浴槽があります。
小さな浴槽(と、言っても充分に広い)には「ミルク湯」と呼ばれる乳白色の硫黄泉が満たされています。ここも炭酸成分を含んでいるので温度はぬる目で、ふわっとした優しい湯触り。

奥の大きな浴槽は、これまで私が入ったことのある内湯の中でも屈指の広さで、お湯はやや緑がかった濁り湯。泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉で、温度は若干熱めです。

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お湯は日の当たり方によって、惚れ惚れするような美しい緑色になります。ほわー、これはキレイだわ-。

湯殿の雰囲気といい、注がれているお湯といい、これほど素晴らしい内湯はなかなかないですね。
足りないものと言ったら歴史くらいで、あと何十年も経って湯殿にさらなる貫禄がつけば、酸ヶ湯温泉や伊豆の金谷旅館のような、この国の温泉を代表するような浴場になるんじゃないかと思います。

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さらに素晴らしいのが「龍神の湯」の露天風呂。
湯船の枠は丸太を並べてあるという趣向を凝らしたもの。こちらにも2つの湯船があり、薄い乳白色と薄い緑褐色のそれぞれ泉質が異なる二種類のお湯が注がれています。
これだけ多くの種類のお湯を楽しめるのも嬉しいね。

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広々していて屋根もないので、開放感は抜群!
どちらの浴槽もお湯の温度はかなりぬる目なので、大自然を間近に感じながら、ゆっくりのんびりと湯浴みを満喫することができます。
この日は雲に隠れて山は見えなかったのですが、雲がなければ八甲田山を仰ぐ好景を眺めながら入浴できそうです。

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丸太の湯口から、とうとうとお湯が注がれる光景にも、秘湯風情を感じる。いいねいいね。

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ゆっくりと時間をかけてお湯を堪能してから部屋に戻ります。
中庭から見た宿泊棟の外観はまるで廃墟のようで、とても営業してる宿には見えないな。

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食事処の前を通り浴場へと続く廊下。
外観はボロボロだけど、中はキレイにリニューアルされているので、あまり古さを感じさせません。面白いほどのギャップだなー。

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夕食は食事処でいただきます。今回の宿泊では通常のプランより1000円ほど高い、夕食グレードアッププランを選んだので、通常の夕食よりもちょっと豪華なはず。

青森に昔から伝わる味を中心とした、素朴ながらも滋味溢れる料理が並びます。
おー、秘湯宿なので料理への期待感はそれほど高くはなかったんだけど、想像していたよりずっとゴージャス!

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彩りも豊かな「津軽七種盛り」。
こういうバラエティに富んだ郷土の味っていいよね。

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ツブ貝、トマトの寒天寄せ、ホタテの稚貝を煮たもの。

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サツマイモと獅子唐、それに聞きなれないハーブ(名前忘れた)の天ぷら。
揚げたてアツアツを出してくれます。

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おお、高級魚、キンキの煮付けがっ!この辺りでは「キンキン」と呼ぶそうです。
周りのお客さんを見渡すと、これがないところもあったので、これがグレードアップ分なのかな?

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山菜の炊き込みご飯。山宿らしくて嬉しい一品。おこげも美味しい。

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具だくさんの鴨汁。
鴨独特の旨味がたっぷりと溶け出した醤油仕立ての汁が絶品!うわ、これ旨いっ!
この日の夕食でこれが一番印象に残る一品でした。

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夕食の締めは、宿の職人さんの手打ちのお蕎麦。
香りも喉越しも素晴らしい。秘湯宿で美味しい蕎麦に出会えるとは望外の喜びですね。

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翌朝の朝食も夕食と同じ食事処でいただきます。
納豆、イカの塩辛、豆乳豆腐、カスベの煮付け、長芋を刻んだもの、ホウレンソウのおひたし、ホタテ稚貝の味噌汁。いいね、個性的なラインナップだ。

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温めながらいただく豆乳豆腐。
火が通るにつれて、徐々に固まってきたところを、すくっていただきます。
む!しっかり大豆の味を感じる豆乳も、半生感のあるトロトロの豆腐も旨い!

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ホタテ稚貝の味噌汁。
身体に染みわたるかのようないい出汁が出てる。

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リンゴをすりおろしたジュース。
生ジュースを出してくれる宿はあるけど、こんなのは初めて。青森らしくていいね!

シンプルな和食膳で品数は多くないのですが、温泉宿の朝食にありがちなありきたりの品ばかりではなく、特徴のある品々が並ぶのが嬉しいですね。夕食に続いて期待以上の満足感でした。

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客室前の廊下から、中庭越しにフロントのある建物のほうを見てみると、ほんとに営業しているとは思えないような姿だなぁ。

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非常階段なんてサビてボロボロです。
ま、これはこれで秘湯感をかき立ててくれるし、味があっていいよね。

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「らむねの湯」には貸切風呂の他に男女別の浴場もあるので、そちらのほうにも入りに行きます。

「龍神の湯」と比べるとかなりの狭さだけど、お湯の個性では負けていません。ほのかな硫黄の匂いも、滑らかな湯触りも素晴らしい、極上のお湯だわー。

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「らむねの湯」の女湯。おや?こちらのほうがいい雰囲気だね。
引戸を開けることができるみたいで、外気にあたりながら入浴できるそうです。

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チェックアウトは10時ですが、青森駅までの送迎バスの出発が11時なので、それまで日帰り客用の広々とした休憩室で待つことにします。
あー、まだ帰りたくないなー。もっと温泉入りたかったなー。

まとめ

お湯の泉質・種類、湯殿の雰囲気、露天風呂の開放感、どこをとっても文句の付けようがない、素晴らしい温泉をたっぷりと満喫することができました。
もう素晴らしすぎて一泊じゃ物足りないくらい。去るのがこれほど惜しいと思った温泉宿は久しぶりですね。

今回の宿泊費は夕食グレードアッププランで1泊2食9650円でした。通常のプランだと、これより1000円安くなります。部屋にトイレや冷蔵庫がなく、設備面では充実しているとは言い難いのですが、そのあたりを気にしないのであれば、コストパフォーマンスは最高ですね。
私がこれまでに泊まったことのある1万円以下の宿のなかでも、屈指の満足感を得られる宿でした。

ただ一点、難があるとすればネット環境くらいでしょうか。宿にはWi-Fiなどのネット接続環境はなく、携帯の電波もソフトバンクはもちろん、ドコモですらギリギリ繋がるという感じで、通信速度はかなり遅かったですね。

まあ、せっかく山の中の秘湯宿に泊まるんですから、ちょっとくらいはネットから離れて秘湯の雰囲気に浸ってみるのもいいんじゃないでしょうか?

とにかく温泉好きの方には全力でオススメしたくなるような宿でした!

ではでは、またー。

▼ぬぐだまりの里 秘湯 八甲田温泉|4種の異なる源泉をかけ流しで愉しむ 素朴な田舎のおもてなし

(旅行日:2014年8月10,11日)