こんにちは、ロプロス(@ropross)です。
ずいぶん間が空いてしまいましたが、9月の道南鉄道旅行記の続きです。
まもなく見学終了となる竜飛海底駅(11月10日で終了しました)を訪れたのに続いて、翌日は江差へ向かうローカル線、江差線に乗ってきました。
江差線は五稜郭駅から江差駅の間を走る全長79.9Kmの路線ですが、来年(2014年)5月12日に木古内-江差間の約42kmの区間が廃止されることが決定しています。
私の住んでいる旭川から道南は遠く、今回の旅行を逃すともう乗る機会はないかもしれないので、函館から江差を日帰りで往復することにしました。
今回はJRの普通・快速列車が7日間連続で乗り放題となる「北海道&東日本パス」を使った旅行だったので、江差線を走る普通列車にももちろん乗ることができます。
江差線の旅のスタートはここ函館駅から。
ホームに向かうと、江差行きのディーゼル車、キハ40がすでに入線していました。当然のごとく一両編成。
青春18きっぷのシーズンは終わってるといえ、廃止が決定してから全国から鉄道ファンが乗りに来ているそうなので、早めに座席をキープしておきます。
車両側部に掲げられた「函館-木古内-江差」のサボ。
列車は10:27に函館駅を出発。終点、江差までは2時間半ののんびり旅です。
4人がけのボックスシートが並ぶオーソドックスな車内。車両の両端はロングシートになっています。
函館を出た時にはそこそこの乗車率で、4人がけのシートが相席になることもありませんでした。
函館駅を出発し、いくつかの駅を過ぎると、路線は函館湾に沿うように走ります。
海の向こうには函館山や青森県の下北半島を望むことができます。
右の方には松前半島。
函館から約1時間ほどで、海峡線との分岐点、木古内駅に到着です。
ここ木古内には、再来年(2015年)の開業が予定されている北海道新幹線の駅ができるため、ちょっとした浮かれムードです。
木古内駅では列車待ち合わせのため17分間も停車するので、列車を降りて写真撮影。
現在の駅のすぐ裏に、新幹線駅の建設が進められていました。
小さな町には不似合いなほど、大規模な駅になりそうな感じ。
ここから先、廃止の決まっている木古内-江差間は、JR北海道の路線のなかでも最も乗客数の少ない区間なのですが、木古内駅で本州から到着した「スーパー白鳥」の乗客が乗り換えてきたため、車内はほぼ満席となりました。
廃線を惜しむ鉄道ファンだけではなく、翌日から江差追分の大会があるようで、その関係者も多く乗車してきたようです。
車内の中吊り広告。木古内町が週刊誌風のなかなかポップな広告を出していました。
木古内駅を出てしばらく行くと、まっすぐに伸びる新幹線の高架をくぐります。
開業する路線と廃止になる路線が交差する瞬間。いろいろ考えさせられます。
渡島鶴岡駅を出てすぐ、列車は禅燈寺(ぜんとうじ)の境内を通り抜けます。
お寺の境内を列車が走るのは全国でも珍しいそうです。
木古内の街を離れると、黄金色に染まる水田が広がる田園地帯を走ります。
やがて列車は山間部へと入ります。
吉堀-神明間には峠があり、列車は苦しげな唸りをあげながら、ゆっくりと急勾配を登っていきます。
わずかひと駅の間ですが、22分もかかりました。
峠を越えて、神明駅に到着です。
板張りのホームが秘境駅マニアに人気なのだとか。
このあたりでお昼ごはん。
駅弁じゃないんだけど、函館駅内にあるお寿司屋さんで買ってきた、鯖のバッテラを頂きます。
函館駅の駅弁は種類も豊富なんだけど、美味しそうなのはあらかた食べちゃったんだよね。
木古内と江差のほぼ中間地点、湯ノ岱駅に到着です。
木古内-江差間にある唯一の列車交換駅で、ここで下りの列車とすれ違います。
湯ノ岱駅から先しばらくは、天ノ川に沿って走ります。
湯ノ岱駅と宮越駅の間にある「天ノ川駅」を通り過ぎます。
と、いっても本物の駅ではなく、江差線の存続と上ノ国町の町おこしのために有志が作った駅っぽい構造物です。
なのでもちろん列車は停まりませんw 面白いことを考える人たちがいるもんだなぁ。
木造の簡素な駅舎が味わい深い宮越駅。
桂岡駅。北海道のローカル線ではお馴染みのコンテナ駅舎。
山間を抜けると、徐々に風景が開けてきました。
田園地帯に入ると、向こうの丘には風力発電の風車が見えてきます。
上ノ国駅に到着です。
町の中心駅だけあって、木古内と江差の間では、最も栄えています。
上ノ国駅を出ると、すぐに左手車窓には日本海が広がります。
函館湾や津軽海峡を見てた時には晴れてたのに、いつの間にやら残念な曇り空。
海の向こうには奥尻島の島影を望むことができます。
木古内を出て1時間7分。終点の江差駅に到着です。
どこか物寂しげな駅名標。
折り返しに備えて車両もちょっと休憩。
線路の先には終着駅であることを物語る車止め。
江差駅の外に出てみました。
江差町のゆるキャラ、「しげっち」が出迎えてくれます。
最近、全国的なブームとなっているご当地ゆるキャラ。動物をモチーフとしたキャラクターが主流ですが、この「しげっち」は実在した繁次郎という人物がモデルになっているそうです。
残念ながら、今回は江差に滞在する時間はないので、20分後の折り返しの列車にそのまま乗り込みました。
列車の最後尾から。
湯ノ岱駅に戻ってきました。
このまま函館まで一気に戻っちゃうのも面白くないので、ここで一旦、列車を降ります。
湯ノ岱の駅舎。駅員さんが立っています。有人駅だったんですねー。
駅舎の中も、ローカル線の駅らしからぬキレイさで、地元の方が大事に使ってるんだな、ってことがわかります。
駅前には小さいながらも集落があります。
次の列車が来るまで約3時間。その間に温泉に入りに行くことにしました。
駅から歩いて10分ほどの場所にある、上ノ国町国民温泉保養センター。
歩ける距離なのですが、駅員さんにお願いすると、送迎の車を回してもらえました。
露天風呂はないのですが、お湯は鉄分を含む茶褐色の濁り湯で、浴槽の縁には温泉成分がびっしりと固まっています。
これは素晴らしい!こんな名湯があったとは!
休憩室でのんびり休んでから、湯ノ岱駅に戻ります。
黄昏時のホームに漂う哀愁を帯びた雰囲気。これがたまらなくいいよねー。
西陽に照らされて輝くレール。なんとも美しい情景。
いつまでも残り続けて欲しいけど、この風景が見られるのもあとわずか・・・
ローカル駅のムードに浸っているうちに、木古内行きの列車が来ました。
木古内が近づくと、新幹線の高架が見えてきました。
手前には黄金色に輝く水田が広がっています。
再び新幹線の高架をくぐります。
木古内駅に戻ってきました。乗ってきた列車は函館まで行かず、ここが終点です。
次に乗る列車まで、50分ほど時間があるので、駅を出て夕食を食べに行きます。
駅近くの食堂「あおき」で木古内の新しい名物グルメ、「木古内炙りほたて丼」を頂きました。
分厚くてぷりぷりのホタテが入った中華風のあんかけ丼です。
木古内からは普通列車を待っていると時間がかかりすぎるので、特急料金500円を支払って、「スーパー白鳥」に乗ることに。
さすがに特急は速く、普通だと1時間以上かかるところを、40分ほどで函館駅に到着しました。
恐らく私にとって最初で最後になるであろう江差線の旅は、これでおしまいです。
今回、通った路線の地図はこちら。
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海・山・川といった豊かな自然や、広がる田園地帯、趣き深いローカル駅、さらにはお寺の境内まで、2時間半ほどの間に多彩な車窓風景を楽しむことができました。
もう乗れなくなってしまうのが本当に惜しまれるような、実に魅力的な路線ですね。
北海道からまた一つ鉄路が消えるのは寂しいことですが、時代の流れとして仕方のないことなのでしょう。
この記事を書いている時点で、江差線の木古内-江差間の廃止まで半年を切りました。半年後にはもう見ることのできない情景。胸に刻みこんでおきたいものです。
ではでは、またー。
(旅行日:2013年9月19日)